【コーチング】ドイツは理論的!日本は時代遅れ?
日本は精神論、根性論が大好き?
突然ですが、日本では学校や部活動、社会に至るまで、精神論や根性論が根付いているのでは無いでしょうか?
自分も、ドイツに来るまでもちろん日本で生まれ育ち、日本人の親に育てられ、大袈裟に言うと、精神論、根性論の考えの元、育ち、ボート競技をしてきました。ご存知の方も多いとは思いますが、中学生の頃のコーチは父がコーチでした。父も高校、大学とボート経験者であり、今日よりも、精神論、根性論の元指導されてきた世代です。別に父に限らず、スポーツ界においてそのような環境で指導、教育されてきた人が多いのではないでしょうか?もっとも、スポーツ界に限らず日本人の中にそういった感情や考え方が代々と受け継がれてきたのかもしれません。
日本人が考えさせられた問題
しかしながら、個人的に世論が変わったと思った事件がありました。2011年大阪市立の高校でおこった、バスケットボール部の顧問からの体罰によって、生徒が自殺した事件です。この事件において顧問は度が過ぎていましたが、他の学校などでも、暴力や監督・コーチの権力のある者からの一方的な罵倒などもあったでしょう。もちろん。すべての部活でそのようなことが行われていたとは思いませんが、上の事件がきっかけなったのは確かでは無いでしょうか?
ボート部界隈でもこの事件をきっかけに、少し意識が変わった印象でした。生徒同士や顧問と生徒でも、なにかあるごとに『体罰』になるから、どうのこうのといった会話も多く聞かれました。そのときは不謹慎ではありながらも、なにかあったら『体罰だ』とか言っていた記憶もあります。
今思えば、体罰が良くないから、暴力をやめる。暴言をやめる。と言った方向になっていたのでは無いでしょうか?日本人の良くないところで、何かあればただ規制をする。なぜ、規制をしたか。それは良くないから。答えは確かにそうかも知れませんが、プロセスがとても曖昧な様に感じました。もちろん、当時は自分も高校生だったので、先生方はいろいろな研修を受けていたのかもしれませんが、結果的にそのような行為がなくなっただけで、なぜ体罰が無くなった、改善されたのかは分かりませんでした。
ただ、ある程度の厳しさというのは必要なんではないかなってドイツに来て思います。もちろん、ドイツのコーチも怒ることはありますが、いい意味でも悪い意味でも自由なのです。干渉しすぎないというのが適切でしょう。コーチは競技を指導するコーチ業、選手は競技をする選手であって、それ以下でもそれ以上でもないという関係です。だから、生活面に関してはほとんど何も言われません。自分が日本人だからかもしれませんが、そこは日本の方が良いかなと思う点です。
パワハラ・セクハラ問題
ここ最近、体罰問題は落ち着いてきましたが、パワーハラスメントやセクシャルハラスメント、いわゆるパワハラ、セクハラと言った問題が部活動、スポーツ関係なく社会問題となっています。もちろん、スポーツをしているとコーチも選手も自然と熱くなるので、ある程度のきつい言葉は選手も理解していると思いますが。
ただ、お恥ずかしいながら2018年に母校である日本大学のアメリカンフットボール部でコーチからの指示により、不必要な乱暴行為(無防備な相手選手に対するファウル)が起こり、裁判にまで発展する事件が起こりました。このような、絶対的な権力者からの指示によって逆らうと何らかの不利益を被るような立場の低い人になにかをさせるわけです。この事件に関しては、いくら身体がぶつかり合う競技だとしてもフェアプレーの精神にも反しますし、日大の事後対応が遅れたことによって、メディアにも大きく取り上げられ、ワイドショーなども連日タックルの話題ばかりでした。(インターネット上なのであまり言えませんが、ああなることは日頃の日大を見ていても不思議なことではありませんが笑)
次のチャプターでは、いよいよ本題のドイツではどのような感じなのか書いていきます。
ドイツは理論的!
では、ドイツではコーチと選手の関係はどの様になっているのか書いていきたいと思います。ここではあくまで自分のボートクラブのコーチと周辺のボートクラブのコーチの様子しか伝えられませんが、ボート競技はCトレーナーからAトレーナーのコーチ資格基準があります。それに加えドイツオリンピック協会のトレーナーアカデミーにおける学位を取得すると最高レベルのディプロマ・トレーナーがあります。ここでは、この資格について詳しくは書きませんが、自分のコーチはこの最高レベルのコーチ資格を持っていて、トレーナーの先生にもなっています。(ドイツローイング協会の教育分野にも携わってるぽい。詳しくはこちら) 選手のみんなはいっつも文句たらたら言っていますが、なんだかんだで言うことを聞いているし、この資格を取得するのには1300コマ×45分プラス試験が必要なので一応すごいことは認めているんだと思います。(単純に比較はできませんが、日本の4年制大学は最低修得単位数が124コマ×90分なのでその約5倍の講義を受ける必要があります。)
Cite: Deutscher Ruderverband Lizenzstufen ライセンスレベル
コミュニケーションを大切にする
では、その自分のコーチはどのような接し方、コーチングをするのか。はじめに、ドイツに来て感じたのが、コーチのコミュニケーション能力が非常に高いことだと思います。コーチ研修の中にはコミュニケーションを養うプログラムも用意されているぐらいコミュニケーションは重要視されています。まー深く考えなくても当たり前のことですよね?なんて言ったって、スポーツする上でコミュニケーションは重要なのですから。日本の場合、コーチや立場が上の人がなにか言えば選手はそれに従うのが通例でしょう。ドイツでは一方通行ではなく、必ず相互にやりとりし、お互い自分の思っていること考えを相手に伝えます。
また、指導においても感情的ではなく、理論的で例えば『AをするためにBをチャレンジしよう。』だとかしっかりプロセスまで説明してくれます。
Cite: MEINRUDERBILD.DE
常にポジティブ思考
また、レース前やレース後のミーティングでもよっぽど悪くない限りネガティブなことは言わず、基本的にポジティブなこと、チャレンジすることをメインに話をします。日本だと、実力に見合わない目標を立てさせたり、なんで、あんなプレーをしたんだとか、マイナス発言をしたりして、選手は段々とその競技が楽しくなくなってくる。やる気・自信が無くなってくるといったようなこともあるように思います。コーチはもちろん勝たせたいと思っているんでしょうが、いくら感情的に言っても結果には結びつかないことを分かって欲しいとつくづく思います。
また、目標設定に関しても『必ずしも優勝!』を目指すのでは無く、『この大会はFinal‐Aを目指そう』だとか、『あの選手は多分あなたより実力は上だから、今回は相手にせず、2位でいいから確実に順位をつけよう』だとか、自分の実力にあった目標設定もしてくれます。この様に高すぎない目標設定をすることで、確実に目標を達成できて、選手も前向きな気持ちでその競技に打ち込め、スポーツするのも楽しくなります。
まー、ボート競技に関して日本とドイツを比較すると、日本だと1つの大会にかける思いが強いですが、ドイツはレースの数も多いので、このように段階的に目標設定をできるのかもしれませんが。