ドイツはボートのセッティンをしない?
ドイツに来てびっくりしたことがあります。
それは、ドイツ人は艇のセッティングをあまり気にしてないこと。日本だと練習前にデプス(シューズプレートの高さ)やハイトの調整、強いてはピンの角度までこだわりを持っている人が多いはずです。戸田のように戸田が練習場所で戸田がレース会場のチームはリガーの取り外しの回数も少ないので、一回セッティングをしてしまえばズレることも少ないでしょう。ドイツはそれこそ2週間に一回にレースに行ったり、合宿や合同練習会に行くことも多いので年間かなりの回数リガー取り外しを行います。また、自分のクラブはまだ良い方で取り外したリガーはトレーラーではなく、車に載せて移動させるので、振動やリガー同士の接触も少ないのですが、他のクラブではトレーラーにリガーを山積みにして来るクラブもよく見かけます。
艇のセッティングは水上で
ドイツでは基本的に水上で足回り(高さはほぼいじらない)とハイトの調整をします。自分のクラブではハイトの調整を簡単に行えるようにC型のプラワッシャーを導入しています。(Empacher製のは爪はないけど柔らかいのでまだいいけど、両側に爪がついているメーカーは設計ミスとしか思えない硬さとローロックとの干渉が気になる。)
また、足回りの調整もここ数年前から艇製造メーカー各社はシングルスカルを省いて工具が無くても開け締めできる足回り用(ストレッチャーの前後の調整用)のクイックレバーを採用してくれているので水上でフィニッシュ周りがキツイなって思ってもすぐに変更できて便利です。個人的に工具を使って開け締めするタイプは台座のプラスチックへの負荷が大きすぎて経年劣化で変形して動きにくくなるので嫌いですが。水上でセッティングを変える習慣がヨーロッパにはあるからEmpacherもFilippiも積極的にクイックレバータイプを採用しているのかなって思ったりもします。(リガーの固定までクイックレバーを採用してきているWinTechには賛同できないけど)
また、日本人は国際的に見ても几帳面な性格に加え、日本特有の配艇制度がある大会が多いので時間の節約のためにも、自分の数値を持って、なるべく時間がかからないようにしているのかなって思います。ドイツに来たばかりの頃、ここは〇〇cmとメジャーで測って艇のセッティングをしていたらそれにはどういう意味があるの?ってみんな不思議そうに見ていました。つまり、そもそも足回りとハイトに関しては測るという概念が無いことになります。
オールやピンのスパンはちゃんと測ります
安心してください。だからといって、艇をまっすぐ進めるのに大切なオールやピンのスパンはしっかり測ります。ピンのスパンは日本の考え方とほぼ変わりません。オールの長さも、シングルスカルは全長短めのインボード長め、ダブルスカルは標準的な288cm-88cm、クォドも289±cm-88±cmで一般的でしょう。スウィープの長さは忘れたので後日掲載します。(更新後お知らせします。)シングルスカルも自分が来たばかりのときは全長少し長めのインボード標準な長さでしたが、コーチに『日本ではどれぐらいの長さで漕いでいたの?』と聞かれ、『2〇〇cmの8〇cmです』と言うとそれよりは少し長めの設定ですが、いつの間にかクラブ中の他の選手のオールもその長さに変わっていました笑
ピンの角度を測っているのを見たことがない。
ドイツに来て、1年ちょっとが経ち、自分のクラブチームにも数艇、新艇が来ましたが、新艇の初セッティング時以外でピンの角度を測っているのを見たことがありません。これが良いのか悪いのかは分かりませんが、よっぽど酷い場合を省きあまり気に指定なさそうです。そんな細かいところを気にするよりとにかく漕げってことか?
個人的な考え
リギングに関して個人的に思うのは、たしかにリギングは大切だけど、そこにこだわりすぎるのも良くないのかな?って思います。もちろん、完璧に越したことは無いですが、艇自体基本的にハンドメイドに加え、艇型枠も時間とともに経年劣化し、多少の誤差がでると聞いたこともあります。ドイツ人ローワーの誇りでもある、ドイツ製のEmpacherですら多少の誤差があったり、中には酷い製品もあるとドイツ人ですら言っているので、イタリア製のファンタスティックな会社や中国製の “勝つ技術” さん、”つばめ”さんは更にその確率が高いのではと思ったりします。
コーチいわく、『月曜日に作った艇(Empacher)は買ってはいけない!』と言っていました。聞いた瞬間はどういう意味って思いましたが、月曜日は週始めで休みモードが残っていてテキトウに仕事をするからいい製品ができないと言うジョークです!あくまで、ジョークですよ笑 コーチは爆笑していたけど、ドイツと距離もある日本だったら笑えない…
最後に、ドイツのナショナルチームはもっとしっかりしていると思います。(裏は100%取れていません)今回の話はあくまでクラブチームレベルの話なので、代表クラスの選手はあんまり鵜呑みにしないでくださいね!